復讐帝國感想

■ストーリー
ロープライスなので展開は早い。
でも決して懐柔する過程が雑という意味ではなく、話が早くて助かるといった感じ。
テキストは知的で読みやすい。
ヴィルの狡猾で駆け引き上手なところがよく表現されていて素敵だった。
プレイ前は各攻略対象の個人ルートがあると思い込んでいたけど、1ルートで3人全員を籠絡するのが基本ルートらしい。
順に1人ずつ攻略していくんだけど、続けて読むとヴィルのポストが上へ下へと転々としてしまっているような…?
しかしストーリーは全員籠絡成功してはいめでたしという訳にはいかず、共和国で諜報活動を続ける中で新たな事実が発覚し、反旗を翻す展開にわくわくした。
プレイに関しては女性向けらしからぬアブノーマルなプレイが多かった。

■グラフィック
テキストと表示されている絵が矛盾している箇所がいくつかある。
胸の位置、手の形、ケフィアの疾走感等の描かれ方でやはり普段は女体・男性向けを描かれている方なんだなと納得する。
蕩けた顔が上目遣いで舌を出している表情なのは馴染みのない文化なので笑ってしまう。ヴィルの舌なめずり立ち絵も。

■ヴィルフリート
ヴィルの計算高く、相手の些細な言動から行動原理やバックグラウンドを読み取り、それに合わせて自分の言動を細かく変化させ、相手を知らず知らずのうちにコントロールする所が好ましい。
しかし籠絡中非情に見える彼も、そもそもの動機はまず何よりも家族を守りたい、そして殉職した部下に報いたいというものなので、時折冷徹になりきれない情の部分が見えるのがいじらしい。
何よりやじまボイスは最高だった。
総攻めゲーを謳っているにも関わらず、まさかのBADでの受け展開、本当にありがとうございます。

■ギュンター
ヴィルの方が一歩優勢に思えるけど、ギュンターの方もBLゲーとしては短いシナリオながら一筋縄ではいかない感じが出ていて良かった。
ギュンターは既に男に抱かれた経験があるので肉体関係になるのは案外スムーズだったが、3人の中で一番大人の関係らしい駆け引きめいたやりとりがあって楽しかった。
主人公はヴィルなのでずっとヴィル視点が続くものだと思っていたら途中でギュンターの独白が入る箇所があって驚いた。
ヴィルが何か謀っていることに気づいていたらしい。
プレイ的にはやばい性癖の持ち主だった。
人の上に立つ人間が被支配欲・被征服欲をこじらせるとああなってしまうのか。

■バルドゥル
ラファエル攻略の選択肢からの分岐で接触可能なおまけキャラ的立ち位置だった。
ギュンターやラファエルと違って、バルドゥルは階級が低く本来罠に掛ける対象ではなかったが、ラファエルを籠絡する予行演習とのこと。
ギュンターと違ってヴィルの色香に秒で惑わされるところが可愛い。
容姿は屈強な中年男性で、攻略対象の中でも最年長。
だが中身は無垢で、ギュンターやラファエルと違って汚い手でのし上がってきた経歴もないのにも関わらず、ただの予行演習で犯されているのである意味一番罪悪感がわく。
ヴィルがバルドゥルの料理に薬を盛る描写でてっきり媚薬かと思ったら…。
あれは男性向けでは市民権を得ているプレイなんだろうか。

■ラファエル
幼女だった。
初本番でヴィルが「セックスも久しぶりだしな…」と独白していたが、既に二人を籠絡させた直後だったので全然久しぶりではないことを突っ込みたかった。
性格的には一番御しやすい相手なのでプレイ中ヴィルも余裕綽々で、ラファエルに低く囁くヴィルの声が艶っぽく沢山ボイスセーブしてしまった。
髪コキというものを聞いたことはあったが、実際に見たのは初めてだった。
父親の肖像画の前でのプレイは萌えというより同情に値する。
しかしそれを差し引いても、前の二人と比べアブノーマル度は低かった。
童貞だから仕方ない。